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Realism (Offline)
JF Old Timer
 
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06-25-2011, 03:52 AM

阿部嘉昭ファンサイト: 椎名林檎 「正しい街」論 (浅井秀一)

This page gives probably the best explanation of the song's lyrics.

 此の街=福岡=君「が正しかった」の後には、「のに ね(ぇ~)」という、ひしゃげたねじれが加えられる。 「正しかった」という意味は瞬時に相殺され、不協和音 的な否定や懐疑にすぐに席を奪われてしまう。ここには 以下の図式もある。過去は「正しかった」。「のに」、 現在の東京から俯瞰する福岡には「ね(ぇ~)」と揶揄 や否定の尾ひれが付属する。「街」のイメージが変容し たのだ。歌詞の以後を斟酌すれば、さらに状況設定が明 確化してくる。かつては自分が一体化していた「此の街 =福岡=君」に、現在は「不愉快な笑みを向け」る。「長い沈黙の後更に態度を悪くした」。「正しい街」(� �外)にいまもいるのが「君」であり、歌の主体は中央に� ��る。つまり歌が描くかつての恋人同士は、いまは相互� ��異なる場所で暮らしている。歌は、立ち位置(郊外/中央)の齟齬・亀裂を描くのみではない。意図してマジ� �リティ(中央)からマイノリティ(郊外)への高圧的な態� �をえぐっているのだ。同時に、このマジョリティのマ� �ノリティとの対決は、マジョリティのマイノリティへ� �裏側の郷愁を分裂症状気味に語ってもいる(高圧と郷� �はここでは反射作用的なものとして考えられているだ� �う)。<冷たいアスファルト>は都会の代名詞的な役割を果た す。もっとも郊外の東京化・都市化が進む中で、<冷たいアスファルト>の獰猛な越境は続き、東京と福 岡に<冷たいアスファルト>の境目が存在するかどうか の判断が困難になりつつある。ともあれ「あの日飛び出した此の街と君が正しかった のにね」以降の展開はメジャーからマイナーへのシフト であり、マジョリティからマイノリティへの場面転換を 示唆しているように思える。
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